標準的なワクチン接種の開始時期の目安は以下となります。
生後2か月以降
- 5種混合ワクチン(4種混合ワクチン・Hib(ヒブ)ワクチン)
- 小児用肺炎球菌ワクチン
- B型肝炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン
1歳以降
- 麻しん風しん混合ワクチン(MR)
- 水痘(みずぼうそう)ワクチン
- おたふくかぜワクチン
小学校高学年以降のワクチン
- HPV(子宮頸がん)ワクチン
- 2種混合ワクチン(DT)
適切なタイミングで忘れずに接種するようにしましょう。
下記に一般的なワクチン接種で推奨されているスケジュールを記載しますので、こちらを参考にご予約いただければと思います。
なお、接種をし忘れてしまった場合でも、スケジュールを組み直して接種できることがあります。予防接種に関してご不明な点や心配なことがございましたらお気軽にご相談ください。
ロタウイルスワクチン(定期接種/生ワクチン/経口接種)
接種対象/推奨スケジュール
生後6週以上(推奨は2か月)から開始します。
1価ワクチンと5価ワクチンがあり接種スケジュールが異なります。
1価ワクチンは、1回目の接種後、27日以上あけて2回目を接種します。5価ワクチンは1回目の接種後、27日以上それぞれあけて2回目、3回目を接種します。
予防できる感染症
ロタウイルスは乳児の急性胃腸炎を起こす代表的なウイルスです。乳幼児期(0~6歳)にかかりやすく、5歳までにほぼすべてのお子様がロタウイルスに感染するといわれています。主な症状は、下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛で、嘔吐がひどく水分がとれずに脱水を起こすと、入院による点滴治療が必要になることもあります。また胃腸炎関連けいれんや脳炎を合併することもあります。
Hib(ヒブ=インフルエンザ菌b型)ワクチン(定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
生後2か月から7か月の間に開始し、27日以上(標準的には27日~56日)あけて3回接種します。
3回目の接種が終了した後の7か月から13か月後に4回目を接種します。2回目及び3回目は1歳未満に終了してください。
初回の接種月齢・年齢(生後2か月から7か月までに開始できなかった場合)や接種もれによって接種間隔・回数が異なります。
予防できる感染症
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌による感染症を予防します。この感染症はほとんどが5歳未満で発症し、とくに乳幼児での発生には注意を要します。主に気道の分泌物により感染し、中耳炎や肺炎を起こします。まれに細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎などの重症感染症を起こすこともあります。細菌性髄膜炎は命に関わったり、後遺症が残ったりすることもある重篤な疾患です。
小児用肺炎球菌ワクチン(定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
生後2か月から7か月の間に開始し、27日以上間隔をあけて3回接種します。4回目の追加接種は、生後12か月から15か月の間に3回接種後60日以上あけて接種します。
初回の接種月齢・年齢(生後2か月から7か月までに開始できなかった場合)や接種もれによって接種間隔・回数が異なります。
予防できる感染症
肺炎球菌による感染症を予防します。肺炎球菌は乳幼児の上気道に感染すると、敗血症や肺炎、細菌性髄膜炎など重篤な感染症を起こすことがあります。また、中耳炎や副鼻腔炎などの気道感染症の原因となることもあります。
B型肝炎(定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
生後2か月から9か月の間に開始し、1回目から27日以上あけて2回目を接種します。3回目は、1回目から139日(20週)以上あけて接種します。
母親が妊娠中にB型肝炎のキャリアであることが分かった場合、母子感染予防として、出産した医療機関から接種スケジュールの指示があります。
予防できる感染症
B型肝炎防やB型肝炎ウイルス母子感染を予防します。乳幼児期(5歳未満)にB型肝炎ウイルスに感染すると、キャリア(ウイルスを体内に保有した状態)になる率が高くなるといわれており、将来、慢性肝炎や肝硬変、肝がんを発症する可能性があります。
5種混合(DPT-IPV-Hib)ワクチン (定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
5種混合ワクチンとは、ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ、Hib(ヒブ)混合のワクチンを指します。
接種対象/推奨スケジュール
第1期:生後2か月から12か月の間に開始します。20日~50日の間隔をあけて3回、3回目の終了後、6か月以上あけて4回目の追加接種をします。
4種混合(DPT-IPV)ワクチン(定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
4種混合ワクチンとは、ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ混合のワクチンを指します。
接種対象/推奨スケジュール
第1期:生後2か月から12か月の間に開始します。20日~50日の間隔をあけて3回、3回目の終了後、6か月以上あけて4回目の追加接種をします。
2種混合(DT)ワクチン(定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
2種混合ワクチンは、ジフテリア及び破傷風を予防するワクチンです。
接種対象/推奨スケジュール
第2期:11歳から12歳の間に、4種混合に追加して2種混合ワクチンを1回接種します。
3種混合(DPT)ワクチン(任意接種/不活化ワクチン/皮下注射)
3種混合ワクチンは、ジフテリア、百日せき、破傷風を予防するワクチンです。
接種対象/推奨スケジュール
5歳から7歳までの就学前に3種混合ワクチンの追加接種が推奨されています。
また、11歳から12歳に接種する2種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンを接種してもよいとされています。
上記の混合ワクチンで予防できる感染症
- ジフテリア:国内での感染はほとんどありませんが過去には重症者が出ていました。主に気道の分泌物によって感染し、のどなどで菌が毒素を放出することで、眼球・横隔膜などの麻痺や心不全などを来します。重篤になると命に関わることもあります。
- 百日咳:主に気道の分泌物によって感染し、咳のため呼吸ができなくなり全身が青紫色になってしまうチアノーゼや、けいれんを起こすことがあります。乳幼児では重症の咳や呼吸困難で命に関わることもあります。
- 破傷風:けがをした傷口から菌が入り込むことで感染し、様々な神経に作用します。けいれんや麻痺を来す死亡率の高い感染症です。
- ポリオ(急性灰白髄炎):ポリオウイルスが口から入り、腸で増殖することで感染します。多くの場合、病気として明らかな症状が出現しないまま免疫ができますが、ポリオウイルスが腸から脊髄の一部に入り込むと、手足に麻痺が起こり、その症状が一生残ってしまうこともあります。
BCG(定期接種/生ワクチン/経皮接種⦅経皮スタンプ⦆)
接種対象/推奨スケジュール
1歳までに1回接種します。標準的な接種期間は生後5か月から8か月です(地域の結核の発生状況などによって異なることがあります)。
予防できる感染症
結核を予防します。結核菌は主に肺の内部で増え、咳、痰、発熱、呼吸困難など、風邪のような症状が現れます。脳、リンパ節、骨、腎臓など体のあらゆる部分に影響が及ぶこともあります。小児では全身性の結核症や結核性髄膜炎、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)といった重篤な結核につながりやすく、重度の後遺症を残してしまうこともあります。
日本脳炎ワクチン(定期接種/不活化ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
第1期と第2期に分かれており、合計4回接種します。
第1期:生後6か月から開始し、3回接種します。1回目から6日以上(標準は6日~28日)あけて、2回目を接種します。3回目の追加接種は、2回目から6か月以上(標準はおおむね1年)あけて接種します。標準は1回目、2回目が3歳、3回目が4歳です。
第2期:9歳から12歳までに4回目を接種します。
予防できる感染症
日本脳炎ウイルスは蚊を媒介して感染し、突然の高熱・頭痛・嘔吐・意識障害やけいれんなどの症状が出現します。知覚障害や運動障害の後遺症が残ったり、命に関わったりすることもある感染症です。日本での発症はきわめて稀ですが、東南アジアなどで流行することがあります。
麻しん風しん(MR)混合ワクチン(定期接種/生ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
第1期と第2期に分かれており、合計2回接種します。
第1期:1歳から2歳未満に1回接種します。
第2期:5歳以上7歳未満(小学校就学前の1年間)に1回接種します。
予防できる感染症
麻しん(はしか)は、発熱・発疹から肺炎や脳炎などの合併症を来す急性の全身感染症で、感染力が強く、空気感染、飛沫感染、接触感染で広がります。高熱や全身発疹、咳、鼻水、目の充血などの症状が出現します。肺炎や中耳炎を合併しやすい感染症です。風しんは、風しんウイルスによって発生する急性の発疹性感染症で、主に飛沫感染によって人から人に感染します。3日はしかとも呼ばれる発熱・発疹を来し、首や耳の後ろのリンパ節の腫れを主症状とします。脳炎などの重篤な合併症を併発することもある感染症です。妊婦さんが感染すると赤ちゃんが先天性風疹症候群という病気を持って生まれる危険性があるため、成人にもワクチン接種が推奨されています。
水痘(みずぼうそう)ワクチン(定期接種/生ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
合計2回接種します。
生後12か月から15か月までの間に1回目の接種を開始します。
2回目は3か月以上(標準は6か月から12か月)間隔をおいて接種します。
予防できる感染症
水痘(みずぼうそう)は、水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる発疹性の感染症です。9歳以下の小児の発症が9割以上を占めています。発熱と全身に水疱疹が多発するのが主な症状ですが、重症化すると熱性けいれん、肺炎、気管支炎などを合併し、入院が必要になることもあります。大人の帯状疱疹も同じウイルスが原因で発症します。
おたふくかぜワクチン(任意接種/生ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
1歳を過ぎたら開始します。1歳のときの1回と、小学校就学前の1年間での1回の接種が望ましいとされています。
予防できる感染症
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)はムンプスウイルスの感染により、発熱や耳下腺(耳の下にあるだ液腺)の腫れ、あごの痛みを伴います。無菌性髄膜炎・脳炎・難聴・精巣炎など重い合併症を起こすこともあります。
HPVワクチン(子宮頸がんなどの予防ワクチン)(定期接種/不活化ワクチン/筋肉内注射)
接種対象/推奨スケジュール
2価、4価、9価の3種類のワクチンがあり、それぞれ接種スケジュールが異なります。
2価(サーバリックス):小学校6年生から高校1年の女子が対象です(標準は中学1年生の間)。1か月の間隔をあけて2回接種します。その後、1回目の接種から6か月の間隔をおいて3回目を接種します。
4価(ガーダシル):小学校6年生から高校1年の女子が対象です(標準は中学1年生の間)。2か月の間隔をあけて2回接種します。その後、1回目の接種から6か月の間隔をおいて3回目を接種します(任意接種で9歳以上の男子も接種できます)。
9価(シルガード9):9歳以上15歳未満の女子が対象です。初回接種から6か月以上の間隔をあけて2回接種します(2回目の接種が初回接種から5か月後未満であった場合、2回目の接種から3か月以上あけて3回目を接種します)。
接種機会を逃した人の
キャッチアップ接種
1997年4月2日から2006年4月1日生まれの女子は、2022年4月から2025年3月までの3年間、定期接種としてHPVワクチンを無料で受けられます。
予防できる感染症
子宮頸がんや尖圭コンジローマなど、HPV(ヒトパピローマウイルス)によって発生する疾患を予防します。HPVに感染した場合、ウイルスが自然に排除されることが多いですが、とどまってしまうこともあります。長期間排除されず感染した状態を維持すると、子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんや尖圭コンジローマなどを引き起こすといわれています。
【3種類のワクチンの予防対象】
- 2価:子宮頸がん(16、18型)
- 4価:子宮頸がん・肛門がん(16、18型)、尖圭コンジローマ(6、11型)
- 9価:子宮頸がん(16、18、31、33、45、52、58型)、尖圭コンジローマ(6型、11型)
インフルエンザワクチン(任意接種/不活化ワクチン/皮下注射)
接種対象/推奨スケジュール
生後6か月以上13歳未満は年2回(10月、11月ころ)、13歳以上は通常年1回(12月中旬までに)接種します(2回接種することも可能です)。
予防できる感染症
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症であり、毎年冬(1月末~3月上旬がピーク)を中心に発生します。38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状と合わせて、のどの痛みや鼻汁、せきなどの症状もみられます。ワクチン接種は12月中旬までに終えることが望ましいと考えられます。